マラソンシーズン終盤4月第3週の日曜日に開催されるあおもり桜マラソンは、雪解けから新緑へと移り変わる爽やかな季節に、青森市内の桜の名所をめぐりながら走れる大会です。

コースは全体的にフラットで、初めてのフルマラソンに挑戦する方にも走りやすい設計。さらに、地元の温かい応援や充実したエイドも魅力のひとつ。実際に、2024大会では男性ランナーの約9%、2025大会では約8%のランナーがサブ3を達成しており、記録を狙うランナーにもおすすめです。


ここでは、大会主催者目線でコースの特徴と攻略ポイントをご紹介します。
スタート前の過ごし方
スタート会場付近には店舗が少なくコンビニ2軒のみ。飲み物や補給食は、シャトルバスに乗車するまでに準備しておくと安心です。
スタートは朝8時50分(第2ウェーブは9時00分)。気温は例年11~13℃程度とやや肌寒く、寒さ対策が必要です。大会本部ではポンチョタイプのカッパを配布しているので、スタート前の待機時にぜひご活用ください。
スタート地点は野木和公園の桜並木。満開の桜に包まれながらスタートを待つ時間は、ランナーにとって格別の瞬間です。大会を盛り上げるのは、青森県出身のオリンピアン・福士加代子さん。その明るい声援が皆さんの緊張を和らげてくださいます。

募集人員はフルマラソン2,400名と全国的には控えめ。比較的ゆとりあるスタートを迎えられるのも魅力です。
また、ペースランナーはサブ3から5時間半まで30分刻みで配置。初挑戦の方から自己ベスト更新を狙う方まで、安心して挑めます。
スタート~中間地点まで
スタート後は、田園風景が広がる国道280号へ。11km地点の折り返しを経て、同じ道を戻る前半はフラットな道が続き、リズムをつかみやすい区間です。ただし、横風が思わぬ負担になることがあるので、体力を温存しながら走りましょう。

エイドは概ね3kmごとに設置。特に15.2km地点では「りんごチョコ」と「一口カステラ」がランナーをお出迎え。糖分補給で元気をチャージできます。
沿道では、ジャンボかかしや津軽三味線の演奏、中高生の元気な応援などが次々と登場。青森らしいおもてなしに、自然と笑顔になれるはずです。
また、この区間では、往復のランナー同士ですれ違う場面もあります。お互いに声を掛け合い励まし合うことで、力が湧いてきます。

中間地点~青森ベイブリッジまで
中間地点を過ぎ、23km地点ではJR東日本の新幹線車両基地のアンダーパスを通過。ここが最初のアップダウンです。アンダーパスを抜けると、地元高校の野球部による熱い声援が背中を押してくれます。

25km付近からはフェリーターミナルを横目に、青森市のベイエリアへ。この時期の青森市は、基本的に西風。ベイエリアに出ると追い風、その後野内駅で折り返すと向かい風になります。中盤で追い風に乗って飛ばしすぎると、折り返し後の向かい風に耐えられなくなるので、ペース配分には注意してください。
26.1km地点のエイドでは、本大会名物の「青森県産ホタテの炊き込みご飯おにぎり」を提供。疲れが見え始める後半にぴったりのスタミナ食です。

そして訪れるのが、本コース最大の難所「青森ベイブリッジ」。1994年に完成し、青森の頭文字「A」をかたどった、全長1,219m・高低差約20mの巨大橋梁です。ここからは、陸奥湾やゴール会場の青い海公園、そして青森のシンボル「アスパム」を望むことができます。疲れを忘れるほどの絶景を楽しみながら駆け抜けましょう。

ベイブリッジ~合浦公園~野内駅折り返し地点まで
ベイブリッジを越えると、いよいよ青森市街地へ。約400年前に港町として発祥した歴史ある街並みを走り抜けます。
この区間は堤川を跨ぐ石森橋・野内川を跨ぐ野内橋と小さいながらもアップダウンがあります。往復で4回橋を渡るため、終盤での疲労が蓄積されやすく、特に石森橋は傾斜がきついので要注意です。
31km地点からは、青森市屈指の桜の名所合浦公園へ。桜並木と「桜まつり」の露店が立ち並ぶ中を走る体験は、他大会にはない大きな魅力です。
ただし、この区間はコース幅が狭く、ハーフマラソンのランナーと合流します。ルールに従い、フルは右側・ハーフは左側を走行し、譲り合って気持ちよく進みましょう。

その後は住宅街を抜け、野内駅(35km地点)で折り返し。ここでは、地元高校生によるねぶた囃子が響き渡り、ランナーの背中を力強く押してくれます。

野内駅~フィニッシュ
残り7km。勝負どころの区間です。三川内科医院のエイドでは、青森りんごのドライフルーツを用意。疲労がピークを迎える時に、爽やかな甘みが心身を支えてくれます。

再び合浦公園を通過すれば、ゴールはもう目前。フィニッシュ会場ではねぶた囃子と跳人(ハネト)が盛大に出迎え、感動の瞬間を演出します。
フィニッシュ後は、青森のソウルフード「すじこおにぎり」がランナー全員に振る舞われます。塩気と旨みが、疲れ切った体に染み渡る至福の味です。
フィニッシュ会場となる青い海公園からは、陸奥湾を一望。タイミングが合えば、クルーズ船が入港しているかも。走り切った達成感と、青森ならではの風景が最高の思い出となるでしょう。


レース後のお楽しみ
ゴール後は、「青森駅前ビーチ」や「ねぶたの家 ワ・ラッセ」を観光するのもおすすめです。疲れを癒したい方は、会場近くのまちなか温泉や、新青森駅近くのあおもり健康ランドへ。走った後の体をしっかりリカバリーしてください。
※本コラムは2024大会、2025大会の内容をもとに作成しています。今後の大会では一部内容が変更となる場合があります。